逆境をプラスに!発想と実行力でコロナ禍に年商140%のもつ鍋専門店【事例紹介シリーズ④】


今回は『もつ鍋専門店 楽天地』を経営されている有限会社楽天地の代表取締役・水谷崇さんに、逆境時のランチェスター経営についてお話を伺いました。
山内経営株式会社 代表取締役社長 山内修
Q.1 入社当初からの逆境を、見事に跳ね返した商品戦略を教えてください。
『楽天地』は父が始めたもつ鍋専門店で、一時はもつ鍋ブームで4億近い売上がありましたが、その後は衰退し、狂牛病の影響でさらに売上が激減しました。
私が銀行を辞め、父の会社に入ったのはその頃です。債務超過が3億になっていました。
私は逆境に強い性格のようで、銀行員時代から条件が厳しいほど頑張れました。
そして、どうにか店の危機を脱した頃、山内先生の講演を聞き、うちにはランチェスター経営の戦略が必要だと感じて勉強を始めたのです。
父である社長は、商売はもつ鍋一筋と決めていました。ちょうどインターネットが普及し始めた頃で、私は「商品がもつ鍋だけなら、全国の皆様に食べてもらおう」と独学で通販とSEO対策を学びました。
「もつ鍋」と検索して最上位に「楽天地」が表示されるようになると、テレビ番組の検索No.1を取り寄せて試食する企画で紹介されました。
そこから1週間、ネット注文の電話が鳴り止まず、1日平均30セットだった注文が、1万セットに激増しました。
私は臨時スタッフを50名確保し、1カ月で注文を捌きました。もつ鍋1セットの価格が3,000円、その内315円まで人件費をかけられると計算して、必要な人数を集めたのです。銀行員時代に培った数字の読み方が役立ちました。
Q.2 地域戦略や顧客戦略は、どのように取り組まれましたか?
うちは出店を天神・博多駅界隈に絞っています。
ランチェスター経営を学ぶ前は、店舗数を増やすと1店舗当たりの売上が下がる懸念がありましたが、地域戦略をよく理解すると、取り組み方がわかりました。
地域を細分化して、狭いエリア内でNo.1のもつ鍋店を目指せば良いのです。
Google検索なら「博多駅筑紫口もつ鍋」で1位の店、「博多駅博多口もつ鍋」で1位の店…という具合に。
地域No.1の店になるには、店のおもてなしがお客様に気に入られてこそ。
「店長の定義は、未来のお客様づくり」という言葉を共有し、各店長はお客様との会話を大事にしています。それぞれの店が、お客様の「また来るね」の一言をもらうために努力をしているのです。
地域戦略でいえば、コロナ禍で多くの店が閉業する中、うちは店舗を6店舗増やしました。
苦しい時期でしたが、コロナ収束後に備えて、好立地の空き店舗を押さえたのです。
逆転の発想が功を奏し、コロナ禍に売上がコロナ前の140%になりました。
うちは来店客の約6割が県外からのお客様です。そこで県外観光客に絞り込んだ客層戦略を立てています。地元の皆様にとっては「県外の友人を連れていきたい店」になることを目標にしています。
Q.3 ランチェスター経営の効果と、今後の展望を教えてください。
数字的にも確かな効果が出ていますが、何より経営者として迷わなくなりました。
個人の店から始まった『楽天地』も従業員が増え、会社組織になりました。
人数が増えると、共有する理念が必要です。「お客様と従業員の幸福」という経営理念を掲げてからは、それに従って実行するのみです。
コロナ禍に給付金の少ないアルバイトスタッフが心配でした。
当時は医療従事者が飲食店への入店を断られる事態も起こっていました。
そこで「医療従事者に無料でもつ鍋を食べてもらおう」というサービスを実行したのです。
単価6,000円のもつ鍋コースを、5,500名の医療従事者に振る舞うことができました。予算はオーバーしましたが、お客様とスタッフの笑顔を見て、やって良かったと思いました。
「10年後に店舗売上50億、もつ鍋メーカーとして50億」を掲げて、商品開発にも力を入れています。店舗数が増えると「楽天地はこんなところ」というブランディングも必要になってきますから、ブランディング事業部を立ち上げて、スタッフの意識改革も図っています。
山内的視点
良いと思ったことをすぐ実行に移す人を、ランチェスター経営では「素直実行型」と呼びます。水谷さんは、まさに素直実行型の人です。
数年前に新店舗がオープンした時、全くお客が来ないと連絡があり、店舗を見に行きました。
入口に店のロゴが書かれた新品の暖簾が掛けてありました。
私が「ロゴではなく、もつ鍋と大きく書いたほうがいい。それに暖簾は隙間から覗けることが大事」と言うと、水谷さんはその場で電話をして、数十万円もした暖簾を作り替えたのです。
その素直さと実行力が、その店を月商1,000万円以上の繁盛店にしたのです。




